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製造実績データで改善プロセスが活性化する仕組みの5段階レベル

製造実績データで改善プロセスが活性化する仕組みの5段階レベル

改善活動が続かない…と感じていませんか?

製造現場では、「ここを直せばもっと良くなるのに」「この作業、無駄が多い気がする」といった現場の“気づき”が日々生まれています。ところが、こうした気づきが形にならず、改善活動が続かない──そんな悩みを抱える工場も少なくありません。

「忙しくて改善まで手が回らない」「やっても成果が見えにくい」「どうせ誰も見てくれない」といった声が重なると、やがて改善活動は形骸化してしまいます。

では、どうすれば改善が“現場の文化”として根づき、継続的に活性化していくのでしょうか。

経済産業省の「スマートマニュファクチャリング構築ガイドライン」では、こうした課題に対して「変革課題マップ No.46」として、改善活動を活性化させるための5段階の仕組みづくりが提示されています。

https://www.nedo.go.jp/library/smart_manufacturing_guideline.html

目指すべき姿は「改善が自然に生まれ、広がっていく工場」

改善が活発な工場では、次のような状態が当たり前になっています。

  • 製造実績データがいつでも見られるようになっている
  • データが溜まるだけでなく、すぐに現場へフィードバックされる
  • 状況が悪化する前に、KPIの変化から改善ポイントがわかる
  • データに基づいた改善が自動的に提案される

つまり、改善活動が「人任せ」「気合と根性」ではなく、仕組みによって自律的に動くようになることが、目指すべき姿です。

改善が活性化する工場をつくる5段階レベル

Lv1:情報の標準化(まず、どんなデータを集めるかを決める)

第一歩は、「どんな製造実績データを取得するか」を明確に定義し、誰が見ても同じように記録できるように標準化することです。手書きやExcel入力など、形式がバラバラでは意味がありません。

✔ 例:日報フォーマットを統一/記録すべき項目(生産数・不良数・稼働率など)を定義する

Lv2:情報・データの蓄積(データを一箇所に集めて管理する)

次のステップでは、記録されたデータを一元的に集約・管理します。これにより、部署ごと・人ごとのばらつきが減り、全体を俯瞰できるようになります。

✔ 例:紙の記録をデジタルに集約/各ラインの実績データを一つのシステムに集める

Lv3:データによるプロセスの連携(現場にすぐフィードバックして、改善に使う)

この段階では、蓄積されたデータを“現場にすぐ返す”しくみが導入されます。たとえば、生産数が計画を下回っている場合、それを即時に見える化し、その日のうちに改善策を検討できる状態をつくります。

✔ 例:ダッシュボードでリアルタイム表示/日々のKPIレポートを現場で共有

Lv4:多頻度解析による最適化(KPIの変化を先読みして、対策をシミュレーション)

このレベルでは、収集したデータを使ってKPIの悪化リスクを早期に検知し、「どの改善策がどれだけ効果的か」をシミュレーションできるようになります。単なる“見える化”から一歩進んだ、戦略的な改善判断が可能になります。

✔ 例:AIによる傾向分析/ライン停止リスクの早期警告と対処案の提示

Lv5:現実との双方向連携(最適な改善策をシステムが提案し、人がすぐ動ける)

最終段階では、現場の進捗や状態に応じて、システムが最適な改善策を提示し、現場が即応できる体制が整います。改善策の指示だけでなく、対応結果が再びシステムに取り込まれ、次の判断にも反映されます。

✔ 例:「今すぐこの対策を行ってください」と自動で提案/対応後の効果が次の分析に活かされる

改善が“当たり前”になる現場を目指して

改善活動は、一人の頑張りでは長続きしません。データに基づく気づきと判断、そして即時のアクションを促す仕組みがあるからこそ、現場全体が“当事者”として改善に取り組むようになります。

あなたの工場でも、まずは「どんな情報を集め、どう活用するか」から始めてみてはいかがでしょうか?

改善が“自然と回る”工場づくり、その第一歩を踏み出しましょう。

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