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設備の安定稼働を維持する5段階レベル

設備の安定稼働を維持する5段階レベル

突然の設備トラブルに困っていませんか?

製造現場では、「機械が突然止まってしまった」という経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。部品が壊れたり、モーターが焼き付いたり、思ってもいないタイミングでトラブルが発生すると、生産が止まり、お客様への納品が遅れてしまうこともあります。

特に今の現場では、設備のメンテナンス(点検や部品交換)を“経験や勘”に頼っていることが多く、「何かおかしい」と気づいたときには、すでに手遅れになってしまっている──というケースも少なくありません。

こうしたトラブルを減らすためには、「故障する前に、その前ぶれ(=予兆)を見つける」ことがとても大切です。

経済産業省が策定した「スマートマニュファクチャリング構築ガイドライン」では、こうした課題に対する解決策を「変革課題マップ No.44」として示しています。この指針では、「設備不具合の予兆を検知し、安定稼働を維持する仕組み」の構築を目標としています。

https://www.nedo.go.jp/library/smart_manufacturing_guideline.html

目指すべき姿は「機械が止まらない現場」

理想的な現場は、次のような状態です。

  • 機械にセンサを取りつけて、温度や振動、音などの変化を毎日見張っている
  • ちょっとした異変があれば、アラームや画面で知らせてくれる
  • 故障が起きる前に、点検や部品交換のタイミングがわかる
  • 点検のタイミングも、人ではなく“データ”が教えてくれる

つまり、これまでベテランの感覚に頼っていた「そろそろ部品を替えたほうがいいかも?」という判断を、センサやPCが代わりにやってくれる、そんな現場が目標です。

このような仕組みがあれば、急なトラブルによる生産停止や、余計な修理費を減らすことができます。

予兆検知の仕組みをつくる5段階レベル

Lv1:情報の標準化(まずは何を記録すべきかを決める)

最初のステップは、「設備にどんな不具合が起きるか」「どんな原因が考えられるか」を整理し、記録するべき項目を決めることです。たとえば、「温度」「振動」「音」「圧力」など、見るべきポイントをあらかじめ決めておくことで、バラバラだった点検内容や報告の仕方が統一されます。

✔ 例:点検表を全員同じフォーマットにする/故障の原因分類をルール化する

Lv2:情報・データの蓄積(記録をためる)

次に行うのは、決めた項目について毎日データをためていくことです。紙でもExcelでもよいので、どの設備で、いつ、どんな状態だったかを記録し続けることが大切です。これにより、後から「いつもと違う」状態に気づく材料になります。

✔ 例:日報で温度や音の変化を記録/過去のトラブル内容を蓄積する

Lv3:データによるプロセスの連携(データを使って点検・修理する)

この段階では、ためたデータを見て、「おかしいな」と思ったときに早めに点検・修理する運用が始まります。たとえば、「このモーターは普段より振動が大きくなってきた」といった変化を見て、実際に保全作業を行うといった動きが現れます。

✔ 例:数値の変化を見て点検のタイミングを決める/点検・修理履歴と連動する

Lv4:多頻度解析による最適化(データから故障の前ぶれを見つけて防ぐ)

ここでは、センサなどから集めたデータをPCやAIが自動で分析し、「故障の前ぶれ」を予測できるようになります。これにより、人が気づく前に、「この設備はあと○日で危なくなりそう」といった判断ができ、予防保全が可能になります。

✔ 例:機械の状態をグラフで監視/異常傾向をAIが自動検知して通知

Lv5:現実との双方向連携(設備が“自分で判断”して対策を教えてくれる)

最終ステップでは、設備のデータをもとに、どんな対策をすればよいかをシステムが自動で判断して、作業者に指示してくれるようになります。さらに、対処した内容や結果もフィードバックされ、設備と人、システムが連携しながら“自分で改善できる工場”に近づきます。

✔ 例:「この部品を交換してください」と設備が教えてくれる/その対処結果が次の予測に活かされる

止まらない現場を目指して

これからのものづくり現場では、「壊れてから考える」時代から、「壊れる前に手を打つ」時代へと、大きく変わろうとしています。

大事なのは、ベテランの経験と勘に頼るのではなく、現場にある“気づき”をデータで形にすることです。予兆検知の仕組みは、その第一歩をサポートしてくれる力強い味方になります。

あなたの工場も、「止まらない現場」「無駄のない修理」「安心して動かせる機械」を目指して、できることから始めてみませんか?

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