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多数個取りでセンサ数削減

多数個取りでセンサ数削減

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背景

図1. スプルーとランナー

射出成形では、樹脂を流し込む複数のキャビティを備えた金型を使用し、1つの金型で複数の成形品を生産することがあります。これを多数個取り成形といいます。射出成形機から金型内に充填された樹脂はスプルー(A)を通過し、ランナー(B)で分岐した後、各キャビティに到達します。多数個取り成形では、成形不良の発生を検知するために、各キャビティに内圧センサが取り付けられていました。しかし、全てのキャビティに内圧センサを設置する構成では、金型改造の手間と内圧センサの購入費用の問題があります。このため、成形不良検知を始める際の敷居が高いという問題がありました。

実験方法

多数個取り整形において、ランナーで分岐された樹脂が各キャビティに充填される構造上、あるキャビティの樹脂状態の変化が他のキャビティへも影響を与える可能性があります。すなわち、各キャビティ内の樹脂状態は相互に関連していると考えられます。この特性に注目し、研究チームは複数のキャビティのうち、一部のキャビティにのみ内圧センサを設置する構成での成形不良の検知可能性を検証しました。

図2. 内圧センサの設置イメージ

実験で使用された金型は4つのキャビティを有しており、1つのキャビティにのみゲート直下と末端に内圧センサをそれぞれ1点ずつ設置しました。他のキャビティにはセンサを取り付けませんでした。良品と不良品の成形条件を用いて、それぞれ20ショット分の内圧データを取得し、その解析により成形品の判別可能性を確認しました。

図3. 実験結果

結果

取得した内圧センサデータから特徴量を抽出し、次元削減を行った後、20ショット分の良品データ群の重心を算出しました。次に、次元削減された特徴量と良品データ群の重心との距離をショットごとにプロットしました。その結果が、以下の図4です。

図4. 特徴量と良品データ群の重心からの距離

20ショット目までの青い点が良品を、それ以降の橙点は成形不良が発生したショットを示しています。成形不良が生じたショットでは、良品データ群の重心からの距離が相対的に大きくなる傾向が見られます。図中の点線を閾値として設定することで、これを上回るショットを成形不良と判定することが可能になります。

まとめ

本研究では、一つのキャビティにのみ内圧センサを設置し、そのデータを用いて多数個取り金型全体で発生した成形不良を検知することに成功しました。この成果は、単一のキャビティにおける樹脂流動の分析が、ランナーを介して連結された全キャビティにおけるフローパターンの変化を読み取れることを示唆しています。この技術により、多数個取り金型のすべてのキャビティに内圧センサを設置する必要がなくなり、金型改造の手間と内圧センサの設置にかかるコストを大幅に削減することが可能となりました。これにより、成形不良検知の敷居が低くなり、射出成形プロセスの効率と品質管理が大きく向上することが記載されます。

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