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シルバー・ブリスターの自動検知

シルバー・ブリスターの自動検知

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背景

射出成形では、ショートショットやバリといった形状不良の他に、シルバーストリークやブリスターのような外観不良が発生することがあります。シルバーストリークは、成形品の表面に白いスジが現れる不良現象であり、これは主に樹脂材料の乾燥不足や、シリンダ内での過剰な滞留時間によって引き起こされます。ブリスターは成形品の表面に泡状の欠陥が形成される成形不良で、せん断発熱や金型温度の影響で樹脂温度が適正範囲を超えて上昇することにより生じます。内圧センサを使用した従来の手法では、シルバーストリークやブリスターの発生を検知することが困難でした。

図1. 設置イメージ

実験方法

研究チームは独自の解析技術を用いて外観不良を検出できることを実証しました。

(1)シルバーストリーク

図1のように、金型に内圧センサを設置し、射出成形中のサイクルごとの内圧データを収集しました。実験では、24ショット分の良品を成形し、同じ成形条件下でシルバーストリークが発生することを確認しました。さらに、シリンダ内で樹脂材料の滞留時間を意図的に長くして、シルバーストリークを誘発しました。これらの条件下で、合計37ショット分の内圧データを収集しました。

(2)ブリスター

図1のように、金型に内圧センサと樹脂温度センサを設置し、サイクルごとのデータを取得しました。同一の成形条件で、25ショット分の良品データと18ショット分のブリスター発生時のデータを収集しました。

結果

(1)シルバーストリーク

内圧センサから取得したデータを基に特徴量を抽出し、次元削減を行い、24ショット分の良品データ群の重心を求めました。図2は、ショットごとに特徴量を次元削減し、良品データ群の重心からの距離をプロットしたものです。青点は良品のショットを、橙点はシルバーストリークが発生したショットを表しています。シルバーストリークが発生すると、良品データ群の重心からの距離が相対的に大きくなることが確認できます。図中の赤線を閾値に設定することで、この閾値を上回るショットをシルバーストリークと判定することが可能です。

図2. シルバーストリーク発生時の特徴量の良品データ群の重心からの距離

(2)ブリスター

圧力センサと樹脂温度センサから得られたデータに基づき、特徴量を抽出し次元削減を行った結果25ショット分の良品データ群の重心を求めました。以下の図は、ショットごとに次元削減された特徴量と良品データ群の重心からの距離をプロットしたものです。青点は良品のショットを、橙点はブリスターが発生したショットを表しています。ブリスターが発生したショットは、良品データ群の重心からの距離が相対的に大きいことが確認できます。こちらも同様に、図中の点線を閾値として設定することで、これを超えるショットをブリスターと判定することが可能です。

図3. ブリスター発生時の特徴量の良品データ群の重心からの距離

まとめ

(1)シルバーストリーク

従来の内圧センサデータを用いた判定方法では、圧力波形の最大値、圧力波形面積、最大圧力到達時間などのパラメータを用いても、シルバーストリークの正確な検出は困難でした。しかし、本研究では新たに定義した特徴量を抽出し、独自のアルゴリズムを適用することで、内圧センサデータからシルバーストリークを効果的に検出する方法を確立しました。これは、射出成形プロセスにおける品質管理の精度を高めるものです。

(2)ブリスター

 ブリスターは温度起因の成形不良であり、樹脂温度センサデータから特定の特徴量を抽出することにより、その検出が可能になりました。このアプローチにより、ブリスターの発生要因を理解し、予防するための新たな手法を導入することができます。

これらの技術により、金型センサデータを活用したシルバーストリークとブリスターを検知する技術を射出成形業界で初めて開発しました。これにより、ショートショットやバリといった形状不良に加え、シルバーストリークやブリスターといった外観不良も検知できるようになり、より包括的な成形不良検知ソリューションを提供できるようになりました。

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