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低密度ポリエチレン(LDPE)の用途や特徴、HDPEとの違いを解説

低密度ポリエチレン(LDPE)の用途や特徴、HDPEとの違いを解説

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LDPE樹脂とは

PE樹脂は密度によって大きく2つに分けられ、高密度のPEをHDPEと呼び、低密度のPEをLDPE樹脂と呼びます。

HDPEについてはこちら

LDPEは、low-density polyethyleneの略で、ローデンポリエチと呼ぶこともあります。密度は0.910以上~0.930未満と定義され、柔らかさは、全樹脂中でトップクラスです。耐衝撃性や電気特性に優れ、耐薬品性、機械特性も良いことから、様々な分野で使用されます。

一般的なLDPE樹脂の特性は、以下のようなものがあります。。

  • 柔軟性に優れる
  • 臭気が低く無毒性である
  • 耐衝撃性が良い
  • 電気的性質に優れる
  • 耐薬品性に優れる
  • 機械的特性に優れる

性質 / 特性

性質 / 特徴 備考
分子構造 結晶性樹脂
収縮率   大きい 1.5~5.0%
乳白色半透明
ガラス転移温度   低い -125℃
耐衝撃性 非常に強い
耐熱性 70℃~90℃
耐候性 × 紫外線に弱い
電気的性質 優れた電気絶縁性をもつ
耐薬品性 強酸化剤には弱い
寸法安定性 × 劣る
機械特性 強い
成形品の外観 良い

代表的な用途

射出成形加工で使用されるLDPE樹脂は下記の通りです。

以下のように食品用品や雑貨製品、建築材料まで、多岐に使用されています。

  • 食品用品:レジ袋、ラップフィルム、食品用チューブ、ドリンクキャップ
  • 雑貨製品:緩衝材(プチプチ)、タッパーのフタ、バケツ、文具類
  • 建築材料:ケーブル被膜材、農業用シート
  • 医療機器:体外診断薬の容器、点滴や輸液バッグの部品

LDPE樹脂の特徴を活かした用途

LDPE樹脂は、私たちの身の周りの様々な場所で使われています。臭気が低く無毒性なので、食品容器や梱包資材としてスーパーやコンビニでは欠かせない

樹脂です。また耐衝撃性、電気的性質に優れ、耐薬品性の良さから、医療機器や研究機関等でも使用されています。

LDPE樹脂の成形加工時におけるポイント

LDPE樹脂の加工ポイントは大きく分けて2つあります。

  • 樹脂替え(パージ)時の注意事項
  • チラーの適切な使用方法

樹脂替え(パージ)で考慮すべきこと

LDPE樹脂は、粘りが強い特徴があります。LDPE樹脂を直接、射出ユニット台にパージしてしまうと、樹脂が射出台にくっついてしまいます。真鍮棒でダンゴを剥がそうとしても、中々剝がれません。樹脂替え(パージ)を行う時は作業時短の為に、下記の方法が有効です。

ノズル部の下に厚紙又は新聞紙を敷く。

ノズル部の下に厚紙又は新聞紙を敷くことにより、射出ユニット台にくっつくことを防ぎ、

作業を時短することができます。

※注意点
ダンゴが紙に付いた状態だと、リサイクルが出来なくなりますので産廃として処分します。

フライパンを使用する。

持ち手がついているフライパンは、LDPE樹脂の樹脂替え(パージ)に非常に役立ちます。ノズル部の下にフライパンを設置することにより、射出ユニット台に、樹脂が付くことなく

楽にパージ作業を行えます。100tonクラスのシリンダーであれば、握りこぶし程度の大きさがベストです。

ダンゴの固化が早まります。中大型成形機の場合は、パージ量が多くなりますので、ステンレス製の大型バットを使用するのがおすすめです。

チラー冷却で考慮すべきこと

チラーは、冷凍機で冷やした水を、金型に供給する装置です。金型水管の詰まりによる成形品の寸法異常や、成形停止時の金型結露が起こります。チラー使用時のトラブルを未然に防ぐには、下記のポイントが重要になります。

金型水管詰まりの予防対策

  • 生産開始前に、水管のエアーパージをして通りを確認しておく。
  • 生産中は、水管各回路の返媒側に取付けたフローチェッカーの動きを確認する。

金型の水管が詰まっている時は、水管の詰まりを除去しましょう。

生産後の結露の予防対策

  • 生産完了後、チラを停止し10ショットくらい成形することで、金型の温度を上げる。(※チラーを停止したまま成形すると、金型は膨張してかじりますので、注意が必要です。)
  • 生産後は速やかに、金型内部の水をエアパージする。(※エアー圧は低めから高めでパージする。)
  • 金型の外面も結露しますので、金型を閉めた状態でエアーガンで結露を飛ばす。(※タイバーやプラテンに、水滴が付かないように注意する。)

金型の結露は錆に直結しますので、必ず水滴を残さないようにしましょう。

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成形不良時対策

LDPE樹脂の特性に合わせた成形条件出しが必要になります。よく発生する不良のポイントは以下の通りです。

ソリ(箱形状)の原因と対策

ソリとは、取り出し後に成形品が収縮して、変形してしまう事象です。成形品の肉厚や、冷却効率の違いによる、収縮の不均等が原因です。成形条件で直すのがベストですが、箱型状の場合は2次的に直します。

ソリの対策方法は、下記の通りです。

成形条件で直す場合

  • 全体的に射出圧力(1次圧・保圧)を上げる(※必要以上に上げるとバリになるので注意。)
  • 冷却時間を伸ばす。(※収縮しづらくなり、寸法が大きくなるので注意。)

2次的に直す場合

  • 矯正治具を使用して、成形後に矯正する。
  • アニーリングで矯正する。

ヒケの原因と対策

ヒケとは、成形品の収縮により、表面が凹んでしまう事象です。充填量が足りていない時や、冷却時に発生する大きな収縮力が原因です。LDPE樹脂は収縮率が大きい為、主にリブや肉厚部、最終充填部に発生します。ヒケの対策方法は、下記の通りです。

保圧時間を伸ばす

保圧時間を長くすることで、収縮して凹んでしまう箇所に樹脂を送りこむことが出来ます。注意点としては、一気に時間を長くしてしまうと、バリやオーバーパックの原因になりますので

1secぐらいずつ時間を伸ばし、成形品の状態を見ながら調整していきます。また、ゲートシール時間以上の保圧時間は効果がありません。

ピンゲートやサブマリンゲートは、ゲートの固化が速いため、ゲートシール時間を見極めながら設定することが重要です。

金型温度を下げる

金型温度を下げることで、スキン層を速く固化させます。スキン層に厚みができ、強度を増すことにより、収縮の引っ張りを抑えることが出来ます。

白化の原因と対策

白化とは、エジェクターピン部や、成形品の離型が悪いところにおいて、無理やり離型されることで白くなる外観不良です。サイクルタイムを考慮すると、速く離型をさせたいですが、速すぎると成形品に負荷がかかり、白化の原因になります。成形品が完全に固化されていない状態で、突き出し動作をするとバランスが崩れてしまい白化の原因となります。

白化の対策方法は、下記の通りです。

エジェクター圧力と速度を下げる。

エジェクター動作を、低圧低速にすることで、エジェクター動作による成形品への離型負荷を下げられます。

冷却時間を長くする。

冷却時間を長くすることで、成形品が完全に固化し強度が増すので、白化を防ぐことが出来ます。

まとめ

LDPE樹脂は安価で柔軟性や耐衝撃性に優れてLDPE樹脂の取扱い方法や成形加工時のポイント、よく発生する不良について説明しました。いることから、食用用品から雑貨製品まで私たちの身の回りで幅広く使用されています。材料替え(パージ)やチラー冷却の取扱い方法には、特に注意が必要です。上記例のような要素を考慮し、より生産性の高い成形加工を目指しましょう。

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