製造業の現場では生産を継続するための保守が重要であり、そのための生産設備のデータ収集および不具合発生の要因特定が重要な課題となっています。ただし、多数の設備が稼働する工場では、設備ごとに異なるデータフォーマットや通信方式の違いにより、データの収集・管理が困難です。本記事では、KVシリーズを活用したPLC一括監視システムの構築について解説します。
🔍 こんな方におすすめ!
✅ 工場のDX化を進めたいがどうすればいいかわからない
✅ 設備監視システムの導入を検討している
✅ 簡単かつ素早くデータ収集を実現したい
一元監視監視システムの構築に着手する場合、以下の課題がよく挙げられます。
キーエンスのKVシリーズは、これらの課題に対してメリットがあります。
KVシリーズを活用することで、既存のPLCを大きく変更せずにデータを収集できます。
本ブログでは、KV-XD02を利用したアプリ画面の基本的な作業内容について解説します。
おおまかな流れは以下の通りです。
参考資料 https://www.keyence.co.jp/support/user/controls/kv-xd02/manual/
今回はアプリ画面に時系列チャートを表示させます。ここでは時系列チャートで表示させるデバイスの収集設定を行います。
1. ユニット構成のKV-XD02のツリーにある「0:時系列データ収集」をクリックしてください。
2. 動作確認用にDM1とDM2を登録してください。コメントまで登録しておくとアプリ画面作成時に参照しやすくなります。
3. OKボタンを押してください。
アプリ画面の表示部分を作成します。ここでは時系列チャートを作成します。
1.プロジェクト画面からKV-XD02のツリー内の「Webダッシュボード」をクリックして、画面を新規作成してください。
【設定例】今回は以下の設定を行いました。
画面名:テスト用画面
画面サイズ:1920x1032
2. 右上「部品」機能から時系列チャートのアイコンをエリアに設置してください。
3. 「時系列チャート」のアイコンをクリック&ドラッグして、グリッドの入ったエリアに設置してください。設置と同時に時系列チャートの設定ウィンドウが開きます。
※設定ウィンドウを閉じてしまった場合は、チャート本体をダブルクリックすることで再度設定ウィンドウを開きなおせます。
4. 設定ウィンドウの拡張データ処理に「000:時系列データ収集」を選択してください。
IDの表示桁数が異なりますが、4.1節で作成した「0:時系列データ収集」が選択できます。
5. 時系列チャートで表示するデバイスを設定します。「+追加」ボタンで表示する系列を2つに増やし、DM1とDM2を設定してください。
時系列チャートが機能するかテストを行います。
1. プロジェクトの設定を行ってください。
a. ユニットエディタ
今回はKV-XD02のポート1を利用します。
KV-XD02 ポート1192.168.2.1255.255.255.0
他の機器についてネットワーク設定は厳密には不要ですが、エラーを回避するため以下の値を設定しています。実際に利用する際は工場環境に合わせて変更してください。
b.シミュレーション用PCの設定
WindowsPCのネットワーク設定を以下のように設定してください。
WindowsPC192.168.2.200255.255.255.0
c. 機器接続
機器を接続してください。
d. シミュレーション用のラダー追加
KV-STUDIOのプロジェクトにシミュレーション用にラダーを追加してください。
DM1000,D1001はKV-STUDIOからの書き込みに利用します。
・0001:KV-XD02の動作許可
・0002:DM1000に入力されている値をDM1にコピーする機能
・0003:DM1001に入力されている値をDM2にコピーする機能
e. 簡易PLCリンクの設定(参考)
他のPLCからデバイス値を取得する場合に利用してください。
今回のテストでは利用していませんが、参考として以下の値を設定しています。
2. KV-8000へのプログラム書込/RUNモード
a. KV-8000の本体スイッチをRUNに変更してください。
b. モニタモードに切り替えて、PLC転送ーモニタモードをクリックしてください。
c. KV-8000へプログラムを書き込みます。
RUNモードで転送することで、KV-8000へ転送されたプログラムが運転状態(運転モード)となります。
3. WindowsPCからKV-XD02へのアクセス方法
画面表示に利用するWindowsPCでインターネットブラウザ(Microsoft edge,Google Chromeなど)を起動します。URLにKV-XD02のポートに設定したIPアドレス[192.168.2.1]を入力するとアプリ画面が表示されます。
4. テストの実行
a. KV-STUDIOのモニタ/シミュレータから「デバイス値一括/変更読出」をクリックします。デバイス値一括変更/読出ウィンドウのデバイス列にDM1000,DM1001を登録します。
b. DM1000およびDM10001に任意の値を入力し、「PLCへ全項目書込」をクリックします。
c. Webページの時系列チャートの数値が変わっていれば成功です。
本記事では、KV-XD02を活用したアプリ画面作成について解説しました。
次回の記事では、「高度な分析を行うための外部PCとの連携」について詳しく解説します。
🔍 さらに詳細な技術情報を知りたい方は、次回の記事をお楽しみに!