JAFEE 大会にて発表しました

2018 年 8 月 24,25 日に東京大学で行われた第 49 回 2018 年度夏季 JAFEE 大会にて以下の 2 つの研究内容について発表しました。

暴落に至る金融時系列に見られる異常振動

有価証券価格などの金融時系列が暴落に至る過程において、振幅と周期が徐々に減衰する振動を伴いながら価格が指数関数的に上昇していく現象がしばしば観測されることが知られています。この現象を良く記述するモデルとして対数周期振動モデルがあり、以下の式により与えられます。

y(t)=A+B(tct)m+C(tct)mcos(ωlog(tct)ϕ)y(t) = A + B\left(t_c - t\right)^{m} + C\left(t_c - t\right)^{m}\cos\left(\omega \log \left(t_c - t\right) - \phi\right)

一方で、金融取引市場は異なるタイムスケールで取引を行う参加者らにより構成されているため金融時系列は単一スケールではなく多重スケールであると考えられます。

そこで本研究では、暴落に至る過程で起こる振動を経験的モード分解を用いて解析を行い、多重スケールでの振動特性を調べました。

結果、バブルの崩壊による暴落に至る時系列において、分解された振動の中に自励振動とよく似た特徴的な振動が確認されました。この結果は、バブルの崩壊の予兆管理に使える可能性があると考えられます。

べき乗則とカットオフ効果を考慮した金融時系列のモデル化

株式や先物、外国為替市場で観測される価格の時系列は裾野が広い確率分布に従うことが知られています。

裾野が広い確率分布の分散は発散することがあるものの、実際に観測されるデータの分散は有限の値をとります。

本研究では、裾野が広い確率分布の分散が発散を抑制する、新たな確率モデルを提案しました。

P(x;β_0)=1πθ(t)exp[β0(xκ(t))2θ(t)]0(β_0+β^)12exp[β^(xκ(t))2θ(t)]f(β^)dβP(x;{\beta}\_0)=\frac{1}{\sqrt{{\pi}{\theta}(t)}}{\exp}\left[-{\beta}_0\frac{(x-{\kappa}(t))^2}{{\theta}(t)}\right]\int_0^{\infty}({\beta}\_0+\hat{\beta})^{\frac{1}{2}}{\exp}\left[-\hat{\beta}\frac{(x-{\kappa}(t))^2}{{\theta}(t)}\right]f(\hat{\beta})d{\beta}

この確率モデルが実際の金融時系列を精度良く推定できることを確認しました。また、この確率モデルに対応するオプション価格の公式も導出しました。

参考リンク:第 49 回 2018 年度夏季 JAFEE 大会プログラム